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2018-03-31 の記事 - 2018-03-31
ある刑事ドラマで、被害者Xが殺害される事件が発生しました。捜査の結果、犯行が可能な人物としてAとBが浮かび上がってきます。Bは大企業の社長、Aはその従業員です。
Aの身辺をいくら調べても、Xを殺害するような理由は全く存在しません。一方、BにとってXが存在することは極めて邪魔であり、Xが存在していると自分の地位が失われる状況にありました。したがって、今回の事件で最も得をしたのはBです。
ところが、ここでAが「この事件は全部自分がやったんだ」と言い張ってきます。しかし、捜査員がAに殺人などとという危険で大それたことをする動機を聞いても、Aは「言えない」の一点張り。それどころか、B社長のスキャンダルに関すること、社長夫人のことにすら、「言えない」を繰り返します。そして「B社長は関係ありません」とも。
Bの方は知らぬ存ぜぬ、自分には何にも関係ない、Aがやったんだろう、と言うばかりです。
このような場合、もう視聴者に真犯人や事件の構図を提示したも同然であり、ここからは「なぜAはBをそこまで必死にかばうのか」「どうやってBの自供なりを引き出すか」などに焦点が移ってきます。人情系の番組であれば、Bがごくわずかに持っている人間らしさに訴えかけ、最終的には忠実に自らをかばおうとするAのためにBが出頭する、といったような展開になるかもしれません。

佐川氏の証人喚問。失望したというのが大方の見方のようですが、以前にもあれだけ嘘や言い逃れを繰り返してきた者から、それもごくわずかの時間しかない中で、あれほどの情報を引き出したのは、私としては予想以上でした。
なぜ「財務省・佐川犯人説」「内閣は無関係」には全く説得力がないのか。内閣周辺こそが改ざんの受益者であって、財務省側にはそんな大それたことをするような理由が存在しないからです。では、もし本当に財務省が犯人、内閣は関係ないとして、それを国民に納得させるためにはどうすればいいか。財務省がどうしても改ざんをしなければならなかった理由をしっかり語ることが唯一の手段でした。
いくら安倍内閣が捏造内閣だからといって、佐川氏が喚問されるまでの短期間でストーリーを作り、国民が納得するような動機をでっちあげ、何ならそれに沿うように文書や記録を改ざんなり捏造なりし、おまけに職員によるリークも確実に行われないようにし、野党のどんな質問にも確実に返答できてボロも出ないようにする、などといったことは極めて困難ですから、佐川氏が財務省が改ざんをした納得いく理由を明確に語ったならば、そしてそれが過去の文書なり答弁なりと合致していたならば、かなり信憑性は高いと考えてよかったでしょう。
ところが、財務省が改ざんをした理由を説明すれば一発で済み、一瞬にして内閣の疑惑を晴らすことができるはずなのに、佐川氏は徹底的にだんまりを決め込みました。これは要するに、どうやってもそのようなものはないと証明しているも同じです。なお、もしかすると今後、捜査の中でなぜか降ってわいたように妙につじつまが合った動機が語られることがあるかもしれませんが、それはもはや信用に値しません。
内閣とは全く無関係の部分で財務省に改ざんが必要な大問題があり、それによる訴追を恐れて黙秘している、という可能性も成り立たないではありませんが、それなら内閣やら昭恵氏に関することについては何らやましい点がないわけですから、これらについて素直に証言するのは全く問題がないどころか、自らの証言の正しさを裏付け、内閣が無関係であることをより強く証明できるものとして、願ってもないとばかりに証言することでしょう。ところが実際にはこういった質問に対しても黙秘しているため、それもあり得ません。
「語らない」ことは「語る」ことと同じほどに物を言います。佐川氏の答弁は、総じて両手を広げて立ちはだかり、「ここには何もない、何もないからあっちへ行け」と言っているようなものと言わざるを得ず、泣き所や問題の根深さが浮き彫りになった喚問であったといえるでしょう。

ただ、このところ強引な「幕引き」の動きがあるのは気になるところです。
普通に考えて、あのような証言で幕引きなどというのは唖然として顎が外れそうなほど明後日の発想です。なにしろ、あれだけのことを「語らない」という方法で雄弁に語った証人喚問なのですから。
しかし、自民党や内閣にとって佐川氏の喚問の意味などどうでもよいのです。それこそ「今日は丑の日」でも「パンダの赤ちゃんが生まれました」でも何でもよく、とにかく適当なことをきっかけにしてメディアに報道をさせないようにすれば目的は達成されるわけです。この場合は佐川氏の証人喚問を媒体に使っただけのことであって、氏の受け答えなど実際には最初からほとんど関係なく、ただこれをきっかけにフェードアウトさせる、というレールが存在しているだけです。
例えばNHKではろくに問題を報道できない状況であることが内部告発によって示され、また本件を「改ざん」と述べることさえも徹底的に避け続けていましたが、そのような厳しい状況の中で最低限の報道がなされるだけでも支持率がこれほど落ちたのです。メディアが適切に機能していれば安倍内閣などとっくの昔に吹っ飛んでいたことを示す良い例であり、逆に言えば何でもいいのでとにかく適当なきっかけを作って問題をうやむやにすることが、内閣にとっては効果的であるわけです。
この内閣はこのやり方での成功体験を積み上げています。今回もそれが上手くいくと考えているのでしょう。そして私は、それを否定できるほど日本国民を信用していません。