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2017-07-23 の記事 - 2017-07-23
結局、蓮舫氏の国籍問題問題は最悪の展開となりました。公表しても意味不明な言いがかりまでつけられる始末で、「差別主義者がこれを攻撃するのは差別が目的だから、戸籍を公表しようが無意味どころか追撃材料にされるだけ」という分かり切った憂慮が完全に的中する結果となりました。

反差別行動において、在日コリアンやLGBTなど被差別者の人々は必死です。この国では平然と「○○人を殺せ」がまかり通り、警察がそれを警護しています。災害のたびに流れるのは虐殺扇動デマ。障碍者はすでに殺戮されましたし、透析患者などへの殺戮を扇動する者もいます。LGBTにしてもアウティング死などが発生していますし、LGBTへの無自覚な偏見は国籍差別にも勝るものがあります。
要するに、実際に命がかかっているため、文字通り必死にならざるを得ないのです。
そして当然、そうした行動において「前に出て」いるマジョリティもまた必死です。醜悪でおぞましいヘイトスピーチを最前線で見ていて、またそれらが何を招くかも大いに理解しているためです。
したがって、差別に反対する人々は、差別主義者と対峙したり、行政や企業に申し入れをしたり、あるいはマイノリティとつながりをもって理解を深めたりといった、賽の河原に石を積むような作業をひたすら行ってきました。そしてそれは、その緊急性・必要性に対して非常にゆっくりとしたペースではあるものの、多少なりとも実を結びつつありました。
無論、そうした努力は現代の反差別者だけのものではありません。部落問題から障碍者差別、人種差別、その他ありとあらゆる差別に対し、昔から多くの人々が改善の努力を行ってきました。現代人はそれを引き継ぎ、少しずつ発展させてきたのです。
ところが、このほど鬼が出現し、部落問題全盛の時代から現在の人種差別に至るまで、人々が積み上げ続けてきた石の山をぶち壊していきました。その鬼を「民進党」といいます。差別を実質的な党是とする自民党や日本会議一派も間接的にはかかわっていますが、ここで直接的な鬼となったのは多様性を党是とする民進党でした。

蓮舫氏は「私を最後にしてほしい」と述べていますが、残念ながらこれは最初となるでしょう。本件によって差別主義者が気に入らないマイノリティに戸籍を要求する前例ができましたので、今後は国会から民間まであらゆる場所で類似の踏み絵を迫るケースが出てくる可能性が大幅に高まりました。
私は政治家としての蓮舫氏はあまり評価していませんが、被差別者としての蓮舫氏の立場ならまだ分かりますし、「私を最後に」の言葉に込められた意思も分かります。また、家族を気にかけていることも理解できます。
それゆえに、実際にはこれで「最初」が作られてしまい、しかも日本のダイバーシティを大幅に後退させ、差別主義者を勢いづかせ、これで差別の波が力を増せば蓮舫氏の子世代のマイノリティを直撃しかねない(例えばいじめや就職差別、結婚差別などは、いずれも若い世代の打撃が大きい)という皮肉で残酷なまでの結末は、非常にやりきれないものがあります。

この国籍問題問題については、差別政党である自民党ですら表立って攻撃するのを控えてきました。さすがに筋の悪すぎる攻撃であることを認識していたためで、つまりは自ら触れれば火だるまになりかねない地獄の扉であったわけです。そして自民党にすらできなかったことをやってのけたのが、あろうことか民進党なのです。
なお重ね重ね述べますが、私は本件において蓮舫氏を責める気にはなりません。何が何でも踏みとどまってほしかったのは確かですが、差別は行う者が100%悪いのであって、これは曲げてはならない大原則です。ここで被害者を攻撃するのは、「被差別者は右の頬を叩かれたら左の頬を差し出せ」と要求するようなもので、これが常態化した場合、殴られるのに耐えられるだけの体力や地盤のない多くの被差別者は表に出てくることが困難になるでしょう。つまり、それ自体が萎縮効果を生むのです。
となると、問題は民進党内での主導権争いを有利に進めるため、蓮舫氏の出自という自らの意思ではどうしようもないものを利用し、差別主義者に相乗りして攻撃をかけた身内の差別主義者です。彼らは単に蓮舫氏に対して人種差別を行ったのみならず、日本のダイバーシティに対して大きなダメージを与え、今までの日本社会の積み重ねをぶち壊しにした、安倍内閣に匹敵するほどの差別主義者連中に他なりません。

私は民進党内に多様な政治的立場の人々が存在すること自体を直ちに問題とはしません。立憲主義が破壊されそうな時に内輪もめに明け暮れたり、選挙の結果次第で緊急事態条項などを含む改憲がなされかねない状況下で共闘可能な相手に砂をかけたり、政府の不正が山ほど明らかになっていて切り込まなければならない状況下で、党内の権力争いにうつつを抜かしたりしないのであれば、多様な考えを持つのもご自由に。
ただし、差別を行う者のみは断じて容認できません。差別をすることに一切の正当性はなく、他人を差別してはならないのは小学生でも知っています。実際には差別が思想の根源である自民党ですら、口先だけでは「差別はダメ」と言うのです。民進党の一部の議員はそのレベルにさえ達しておらず、その度合いたるや臆面もなく怪文書に名を連ねたりするほどで、かつ党内の良識ある議員による差別反対の声でそれを圧倒できない状況は、深刻であると言わざるを得ません。
無論、現状でうかつに党勢を削ぐのは得策とは言い難い面もあり、蓮舫氏と差別を許さない所属者らが組んでヘイト勢力を抑え込めるのならそれでも良いでしょう。個人的には蓮舫氏の政治思想にはあまり賛同しませんが、こちらも泥水を飲んで選挙の状況次第では民進党を支持しているのですから、蓮舫氏も泥水を飲んで共闘でもなんでもやってくれれば結構(できなければ代表の座をそれができる人に明け渡してもらっても結構)。しかし、本件の存在は抑えが全く機能しておらず、蓮舫氏の側もそれを撃退するなり受け流すなりができない状態にあることを示しています。
もういい加減、それなりの決着をつけてもらわなければ困ります。これではもはや現状の民進党の存在自体が、石を積み上げるかのように地道に行われてきた反差別の動きへの妨害でしかなく、このままではいつ再び石の山を突き崩されるか分かったものではありません。

差別政党に対抗するため、にわか差別政党を作っても勝てるわけがありません。仮に勝てるとしても、差別政党として勝つのならば勝たなくて結構です。
日本会議一派による政治に反対する人々は、差別を否定して多様性を尊重し、政権交代または最低でも日本会議派政党の行動を牽制できる規模の政党を待ち望んでいます。そしてそれは、沖縄などへの地域・民族差別の否定に始まり、障碍者の生存権を守ること、基本的人権や立憲主義を守ること、労働者を無賃残業などから守ること、市民を貧困から守ること、教育を受ける権利を守ることなど、あらゆる人々の人権を守ることと地続きであって、これらはすべて日本会議・新自由主義の対立軸としての政党に求められていることです(これは逆もまたしかりで、人種国籍差別を行う層は、沖縄を侮辱したり、障碍者の人権を否定したり、テレビのインタビューに応じた貧困高校生などを攻撃した層とかなり重なっていて、さらにその多くが自民その他の日本会議勢力に親和的、かつ民進党に敵対的です)。
差別を否定し多様性を尊重すること。これが日本会議勢力と対峙する上での、おそらく実質上唯一の「解」となります。

なお本件に関して本音を書いておくなら、かなりの徒労感を覚えてはいます。差別に反対している人々、つまり選挙で戦略的投票先として民進党に投票することが期待できる人々が、差別に屈して戸籍を出せば日本のダイバーシティが後退すると必死で訴え、民進党に申し入れなどもしているのに、それを全部切り捨てて絶対に民進党に投票しない差別主義者の要求の方を取ったとあっては、「この党は私たちの言葉を聞く気があるのか?差別にかかわることですらこれでは、ましてや共闘や一般政策なら?」と考えるのは仕方のないことでしょう。